RFPとは?
RFPとは、Request For Proposalで、日本語では提案依頼書とも呼ばれます。情報システムに求める要望を文書として整理し、システム業者(ITベンダー)に提案を依頼するためのものです。RFPでは、一般的に次のような項目を定めることが推奨されています。
- 1.システム概要(システム化の目的・方針、解決したい課題、現行システムとの関連等)
- 2.提案依頼事項(調達内容・業務の詳細、システム構成、品質・性能条件、スケジュール等)
- 3.提案手続きについて(提案手続き・スケジュール、提供資料等)
- 4.開発に関する条件(開発期間、作業場所等)
- 5.保証要件(システム品質保証基準、セキュリティ等)
- 6.契約事項(支払条件、保証年数等)
- 7.添付資料(要求機能一覧、DFD等)
RFPを書くために、様々な事項を検討して決めておかなければいけないことがわかっていただけたでしょうか。
RFP策定のメリット
このように、RFPは実際にシステム業者を決定する前に、検討しておかなければいけない事項が多いため、発注者側にそれなりに負担を求められます。それでも、発注者には次のメリットがあります。
➀システム業者との認識ギャップを最小化できる
事前に自社のやりたいことがRFPとして明文化されているので、システム業者も具体的な提案を行うことができるようになります。これによって、「とりあえず契約して、詳細は後で」といった、契約後にトラブルを誘発する状況を回避しやすくなります。
時々「〇〇システム一式」というような見積りが提示されるケースがありますが、このような曖昧な内容で契約を行ってしまうと、契約後にいざプロジェクトを進めてみると、「〇〇機能は見積の対象外。追加料金になります」という事態を招きやすくなります(逆に、発注者側で「あれもこれもやって欲しい。でも料金とスケジュールも変更なしで」というような無茶な要求をしてしまうケースもあります)。発注者・受注者双方が、可能な限り事前にシステムで実現したいことを文書を介して明確にしておくことが、契約後の円滑なプロジェクト進行につながるのです。
②複数のシステム業者に対して交渉・評価を行いやすくなる
情報システムの投資は大きな金額になることもしばしばです。その場合は、複数業者の相見積もりを受けて決めることも多くなります。そのときに、RFPがあると複数業者を比較しやすくなります。
RFPが存在しない場合は、金額の安さが目についたり、担当者のプレゼンの上手さなど印象論で決まってしまうこともしばしばです。もちろん金額も重要ですが、最も重要なのは、「会社が情報システムで達成したいことを実現できるか」であり、金額を含めそのプロジェクトの成功可能性が最も高いシステム業者を選定することです。
RFPがあると、「A社は〇〇は十分できそうだが、△△のところは少し理想と違うようだ。一方B社は・・・」というように、具体的なポイントに対する比較・評価をすることができるようになります。
RFP策定で注意すべき点
このようにRFPを作ることには十分なメリットがあるのですが、一方で注意すべき点もあります。
➀業務上の課題と要望事項を社内で整理する
RFPを作るためには、システムが対象とする業務を理解し、今の業務やシステムの問題点をわかりやすく整理していく必要があります。これには、業務を分析したり、関係者からヒアリングして課題を整理するなどの作業が求められますが、業務を俯瞰で捉えて課題を抽出したり、現場から多数あがる問題点を整理していくことは、時に骨の折れる作業です。
これらの業務を計画的に実行し、現場や経営者と調整しながら、文書としてまとめていくために、予め必要な準備作業を棚卸しておく、経験豊富な人材をプロジェクトマネージャーとして任命しておくなどの対応が有効です。
②システムの技術的な要望事項を社内で整理する
発注者側には、業務だけでなく情報システムに対する技術的理解も必要になります。情報システムに関する専門知識も多少はないと、自社が実現したいことが、しっかりIT技術の観点で実現できるかを判断することができません。例えば、システムが万が一停止してしまった場合、どの程度停止時間が生じてしまう可能性があるのか、自社の重要なデータはどのような方法でどこにバックアップされるのか、セキュリティ対策はどのように講じられるのか、など技術面で検討しなければいけないことも多く存在します。
クラウドサービスやAI・RPAなど、どんどん新しい技術が当たり前になったり、セキュリティ対策として求められることも年々変わってきます。これらに対して、しっかりとした対策を検討し、情報システムに反映していく必要があります。
いかがでしたでしょうか。RFPの概要やメリット、注意すべき点についてご理解いただけましたか。
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