原価管理制度の目的
原価管理制度の目的は、次の2つを挙げることができます。
- ・製品別に原価を把握し、分析することで、営業面及び製造面の改善に結びつけ利益を改善すること
- ・製品・顧客戦略を明確化し、収益構造の改革に役立てること
原価管理で実務上よく見られる問題点
原価管理では、実務上次のような問題が生じていることがよくあります。
- ・製品別の原価計算が行われていない。材料費は計算されているが、加工費が計算されていない。
- ・製品仕様書などにより、製品別の標準原価が設定されているものの、労務時間や経費が製品別に集計されていないため、実際の製品原価が把握できない。
- ・原価計算のレポートは作成されており、製品別の原価差額も把握されているが、差額の分析が行われていない。
- ・製品別・得意先別の粗利が把握されていないため、不採算の製品・得意先が把握されておらず、利益改善につながっていない。
原価管理の仕組み導入での注意点
原価計算の結果は、実務に活かしてこそ意味があります。仕組みを導入したあとも活用できるよう、次の点に注意してください。
➀最初から高い精度を求めない
モノの流れやコストの発生を過度に正確につかもうとすると、結果として原価計算のシステム構築に多大な時間やコストを要したり、構築後の運用が困難になります。まずは80%程度の精度を目標として計算ルールを設定しましょう。
重要な費目、重要な工程・作業を見極め、そこを中心とした原価計算のプロセスを作り上げることが重要です。
②実際原価にこだわらない
原価計算の際に使用する材料費や労務費の実際原価にこだわりすぎて計算スピードを犠牲にしないことが重要です。経営の意思決定では、スピードを優先しましょう。
たとえば材料費、労務費の計算などは、過去の実績に基づいた平均材料単価や平均賃率などの予定単価を用い、数量のみ毎月の実際使用量や実際労働時間を利用することにより、計算スピードを高めることができます。
③トップ、関連部署を巻き込み、重要性・価値の共通認識を醸成する
原価計算には多くのデータを必要とします。そのため、原価計算制度を構築するためには多くの人の協力が必要です。
原価管理制度の導入目的、方針を明確にして、トップと関連部署が団結して進めることが必要です。
いかがでしたでしょうか。原価管理の目的や、注意すべき点についてご理解いただけましたか。
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